Z1の衝撃的デビューから6年がたった1979年。多くのキャスティングパーツを変更し外観のイメージを一新したZ1000 MkIIが登場する。わずか2年で次世代に道を譲ることになるがカワサキの挑戦は高く評価したい。
文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

カワサキ「Z1000MKII(Z1000-A3A)」各部装備・ディテール解説

画像: メーターはZ1000に通じる形状で、ハンドル幅も同様に80cm前後を公称。欧州向けでは、写真の北米仕様よりグリップの低いセミアップを組み合わせた。マスターシリンダーのリザーバータンクは角形になり表情が変わった。

メーターはZ1000に通じる形状で、ハンドル幅も同様に80cm前後を公称。欧州向けでは、写真の北米仕様よりグリップの低いセミアップを組み合わせた。マスターシリンダーのリザーバータンクは角形になり表情が変わった。

画像: 新たにデザインされた燃料タンクの容量は17.8L。全長は実測値で約56cmと最も短くなっているから、上下左右に膨らませて容量を稼ぐ。カワサキのエンブレムが頭文字以外、小文字に。

新たにデザインされた燃料タンクの容量は17.8L。全長は実測値で約56cmと最も短くなっているから、上下左右に膨らませて容量を稼ぐ。カワサキのエンブレムが頭文字以外、小文字に。

画像: Z1000と同じΦ70×66mmというボア×ストロークはそのままに多くのキャスティングパーツを刷新。クランクやピストンも新設計された。1980年にはボッシュ製の燃料噴射を持つZ1000Hが登場、第一世代では最強の96PSを発揮。

Z1000と同じΦ70×66mmというボア×ストロークはそのままに多くのキャスティングパーツを刷新。クランクやピストンも新設計された。1980年にはボッシュ製の燃料噴射を持つZ1000Hが登場、第一世代では最強の96PSを発揮。

画像: エグゾーストシステムは基本的に左右2気筒ずつがそれぞれ集合する4-2だが、このアングルで見ると、集合部で連結されているのがわかる。

エグゾーストシステムは基本的に左右2気筒ずつがそれぞれ集合する4-2だが、このアングルで見ると、集合部で連結されているのがわかる。

画像: カムやピストンは基本的に前年度のA2と同じだが、キャブレターをミクニVM26SSから、Z1Rと同じVM28SSに変更。ポイント点火をトランジスタに改めた。公表スペックは、93HP/8000rpm、9.1kgf・m/6500rpm。最高出力はA2の83HPから10HP上がったことになる。 一方で、特に厳しかった米カリフォルニア州などの排ガス規制に対応するため、US仕様ではKCA (カワサキ・クリーン・エア)という排ガス浄化装置を採用。エアクリーナーボックスから新鮮な空気をホースで取り入れ、バキュームスイッチバルブやリードバルブでコントロールしながら排気ポートに送り込む。システムとしてはキャブレター車の最終期に各社が用いていた2次エア導入装置と同じである。 その出力については"A2と同様の83HPでアンダーパワー"と記述されたこともあるが、当時のアメリカでは93HPと表記され、ゼロヨンは12.1秒前後。ドイツ向けA3は94HP/8000rpm、8.8kgf・m/7000rpmだが12.5秒。テストの場所や条件は違うものの、性能差はなかった。

カムやピストンは基本的に前年度のA2と同じだが、キャブレターをミクニVM26SSから、Z1Rと同じVM28SSに変更。ポイント点火をトランジスタに改めた。公表スペックは、93HP/8000rpm、9.1kgf・m/6500rpm。最高出力はA2の83HPから10HP上がったことになる。

一方で、特に厳しかった米カリフォルニア州などの排ガス規制に対応するため、US仕様ではKCA (カワサキ・クリーン・エア)という排ガス浄化装置を採用。エアクリーナーボックスから新鮮な空気をホースで取り入れ、バキュームスイッチバルブやリードバルブでコントロールしながら排気ポートに送り込む。システムとしてはキャブレター車の最終期に各社が用いていた2次エア導入装置と同じである。

その出力については"A2と同様の83HPでアンダーパワー"と記述されたこともあるが、当時のアメリカでは93HPと表記され、ゼロヨンは12.1秒前後。ドイツ向けA3は94HP/8000rpm、8.8kgf・m/7000rpmだが12.5秒。テストの場所や条件は違うものの、性能差はなかった。

画像: トランジスタ点火をついに採用、接点調整という面倒な仕事から解放された。メンテナンスフリーという点では、オートマチックのカムチェーンテンショナーなども採用されている。

トランジスタ点火をついに採用、接点調整という面倒な仕事から解放された。メンテナンスフリーという点では、オートマチックのカムチェーンテンショナーなども採用されている。

画像: タンクが短い代わりに、シートは73cmと、これまでで最も長いが、座面の前後長は同じくらい。縦のラインが入らない蛇腹状のパターン。

タンクが短い代わりに、シートは73cmと、これまでで最も長いが、座面の前後長は同じくらい。縦のラインが入らない蛇腹状のパターン。

画像: Z1やZ1000と同じヒンジの付いた横開き方式を採用。エアクリーナー形状や、前方の工具入れ、後方の書類入れはA2と同様となっている。

Z1やZ1000と同じヒンジの付いた横開き方式を採用。エアクリーナー形状や、前方の工具入れ、後方の書類入れはA2と同様となっている。

画像: サイドカバーはZ1-Rと同様のデザインを採用、シート下のスペースを完全に覆う三角形に。北米向けは頭にカワサキのKがつく。

サイドカバーはZ1-Rと同様のデザインを採用、シート下のスペースを完全に覆う三角形に。北米向けは頭にカワサキのKがつく。

画像: やや上を向いたテールレンズをぴったりと覆うようになったテールカウル。欧州仕様にはサイドリフレクターが付かず、リアフェンダーも全長で60mmほど長いロングタイプになる。

やや上を向いたテールレンズをぴったりと覆うようになったテールカウル。欧州仕様にはサイドリフレクターが付かず、リアフェンダーも全長で60mmほど長いロングタイプになる。

画像: 車載工具と収納用のトレー。撮影車は見事にそろっていた。

車載工具と収納用のトレー。撮影車は見事にそろっていた。

カワサキ「Z1000MKII(Z1000-A3A)」主なスペック

全長×全幅×全高2180×900×1180mm
ホイールベース1490mm
最低地上高155mm
シート高815mm
乾燥重量245kg
エンジン形式空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量1016cc
ボア×ストローク70×66mm
圧縮比8.7
最高出力93HP/8000rpm
最大トルク9.1kgf・m/7000rpm
燃料供給方式VM28キャブレター
燃料タンク容量17.8L
変速機形式5速リターン
キャスター角26.0゜
トレール量87mm
ブレーキ形式(前・後)Φ296mmダブルディスク・Φ290mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)3.25V-19・4.00V-18

文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

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