20年以上練られた技術がそのままCB-Fの“現役力”に

ホンダCB-Fシリーズの仕立て方は、純正のフロント19/リヤ18インチ(FCやCB1100Rは前後18)、現代的な前後17インチ。スマートなルックスと切れの良い走りを両立する前後18インチと、他の同年代車同様にこの3通りが考えられる。タジマエンジニアリングでは、この3タイプのカスタム手法がそれぞれに確立されている。

この車両は同店がカスタムする先に挙げた3タイプの中では、前後17インチに分けられる。足まわりは同じホンダの高年式車両からの純正流用でまとめられているが、その内容も気になる。

「元々は10年少し前(2012年頃)に当店で製作した車両で、エンジンやフレームはその当時の仕様を引き継いでいます。’19年にオーナーさんが変わって、私が足まわりを一新しました。フロントフォークはCB1300SFのφ43mmインナーチューブにCB1100RSボトムケースを組み合わせて内部加工、全長もCB-Fに合わせています。フロントキャリパーはCB1100RSのラジアルマウントで、ホイールはSC59(CBR1000RR/’12〜’16年)を使っています。社外パーツを使うのもいいですし、このようにホンダ純正の組み合わせで作るのもいいです。どちらにしてもこのフロントフォーク全長のように寸法を出したり内部改修したりするように、CB-Fに合わせたセッティングをすることは必要ですけど」

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こう言うのは、タジマエンジニアリング現代表の村嶋さん。’22年に同店創業者・田島歳久さんの逝去を受けて業務を引き継ぎ、今年2月には店舗を同じ福岡県の南部、筑後市に移転した。

「今回変わっていない方では、フレームは最初に“20年経っても陳腐化しない車体剛性とハンドリングを”と作り込んだものです。CB1300SF(SC54)と同等の剛性を目指して約20カ所を補強しています。この車両の製作時点でフロントフォークのスペックにフォークオフセットやスイングアーム長などのCB-F/R・17インチ化用データは揃っていたので、それをこの車両ではワンランク上でバランスしました。フォークオフセット35mm(CB-F純正は45mm)でトレール110mm近辺のディメンションも17インチにOKというデータが得られていましたので、今回の足まわり変更でもそのまま使えています。エンジンも当店では必須と言えるポート加工にバルブガイド打ち替えと芯出しにバルブシート当たりの見直しなどを施しています。ジャイロ効果は損なわずに振動が減るように、クランクも軽量フルバランス加工しています」

電気系は初期段階でハーネスを引き直し、発電系も新型機種用パーツで発電量を上げるとともに軽量小型化も行われるタジマオリジナルにコンバートされているが、これも車両製作当時に形にしていたものだ。

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今に続くタジマエンジニアリングの定番チューニング。それは1980年代のCB-F現役時代/同店開店時以来培われてきた。2005年頃、同店がカスタム/チューニングを業態の中心にした時に表舞台に出てきたものでもあるが、その背景はきっちり整えられていたのだ。それがエンジンにも、そしてフレームにも投入され、その技法は、製作から10年以上が過ぎた2024年の今見ても、まったく陳腐化していない。これからもそうあるはずだから、これらの手法によってCB-Fは今後も現役車両で居続けられるだろう。

加えて言うなら、この車両は現仕様で何度か同店に整備入庫しているのをリアルタイムで見たことがある。だから、しっかり乗られたことと同時に、きちんと手の入った車両が定期整備で好調を維持することを体現するということも分かった。それも、CB-Fの現役力を維持するのに大事ということだ。

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Detailed Description 詳細説明

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CB1300SF(SC54)用ステム(フォークオフセットは45→35mm)に北米仕様CB900Fメーターをセット、右側にスタックST200エンジン回転計をビルトインして純正らしさの中にカスタム感も盛り込んだコクピット。ハンドルはZパーツ・バーとしてフロントマスターはニッシンラジアル、これに合わせたワイヤクラッチホルダーはゲイルスピードだ。

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いわゆるスペンサーカラーとなる北米CB750FC純正カラーの外装。HONDAロゴ下に貼られるのはタジマエンジニアリングのステッカー。同店でポート加工を行う際に使うリューターがモチーフで、それが施された証とも言える。

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シートは純正シートをリペアしたものでフロント両サイドはわずかに肉抜きされ、足着き性等を向上している。

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ステップはチェイスモーターサイクル製。速度計取り出しはフロントホイール左からフロントスプロケットカバー部に移設されている。

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エンジンはCB900Fのφ64.5×69mmスペックのままに純正ピストンをモリブデンフッ素コーティング、吸排気ポートをφ21.5mmから23.5mmに拡大し整え、バルブガイド打ち替え/芯出し(CB-Fでは斜めになっているものもよく見るとのこと)や当たり幅1mmを基本に取るバルブシートリング合わせ。また慣性を残しつつ振動を減らすクランク軽量加工&フルバランスと、CB-Fエンジンの潜在能力を効果的に引き出すタジマエンジニアリングで定番メニューをほぼフル投入る。その能力を受け止め、現代のタイヤとのマッチングを図る約20カ所のフレーム補強は多くの車両で試された後、この車両で確立したと言えるものだ。

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キャブレターはCRスペシャルφ31mmを装着。しっかりしたレスポンスとスムーズな過渡特性を得た。

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CB1300SF(SC54)用φ43mmインナーチューブ/カートリッジと同内径のCB1100RS用ボトムピースを組み合わせて内部加工、セッティングと全長を合わせたフロントフォーク。フロントキャリパーはCB1100RS用TOKICO4ピストンでフロントディスクはサンスター製。

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スイングアームはCB400SFに7NO1材で補強を加えたタジマスペシャルで、強度等も満足させている。リヤショックはオーリンズ・グランドツイン。リヤブレーキはCB400SF純正2ピストンキャリパー+CBR1000RRディスク、マフラーはタジマ×エンデュランス4-1メガホンを使う。

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リヤショックのレイダウンに合わせてサイドカバーはカット加工。前後ホイールはCBR1000RR(SC59後期)の3.50-17/6.00-17サイズでドライブチェーンはEK 525ZVXをチョイス。

取材協力:タジマエンジニアリング

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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