ルックスも性能でも現代版CB-Fを目標とし実現
ACサンクチュアリーのコンプリートカスタム、RCMによるCB900F=RCM-609。製作過程について同店・中村さんに聞いてみよう。
「このRCM-609はオーナーさんが購入した輸入車両が直接当店に届いて、その状態確認を最初に行いました。見た目は良好だったのですが、バラしてみると乗り込まれた感もありました。
それでフレームはレーザー測定して修正。それに前後17インチ化&リヤタイヤのワイド化に合わせたリヤショックのワイドレイダウン補強(ショックとタイヤの干渉を防ぐべくショックを外側に置き直しつつ適正位置へのレイダウンを行い、強固で正確にマウント)や当店オリジナル補強、チェーンラインの確保等の作業を行います。その後ブラスト処理してパウダーコート仕上げ。
エンジンはクランクのジャーナルラッピングにダイナミックバランス取り、シリンダーもボーリング&ホーニングしてシリンダーヘッドはオーバーサイズバルブガイド打ち替えとシートカットなど。デッキ面にシリンダー上下も面研。これらの内燃機加工はすべてDiNx(ディンクス)で行います。
ステムやスイングアームはナイトロレーシングのZ用を加工、マフラーはウェルドクラフト3Dシリーズで、17インチでフロントがフルストロークしてもタイヤとエキパイが干渉しません。シートも前がタンクと隙間なく、表皮の張りも偏らないよう気を遣っています」
意外なようだが、中村さんはCB-Fを現役当時からかっこいいモデルと意識していて、ボディラインや全体の姿勢もそのひとつだという。だからこそこのRCM-609でもすみずみまで細かなこだわりがちりばめられ、CB-Fのらしさを強めている。
なおCB-F自体はRCMとしては少数派だが、もう20年も前にRCM-117として作られたFBカラーのCB1100Fが大きな反響を呼び、今も製作の見本にされるという。このRCM-609も同じFBカラーで、その雰囲気が色濃く見えてくる。手法は前述のようにRCMのそれとして確立されていて、新しいパーツや個々に進化した技法によって、コンプリートの良さもよりブラッシュアップされたということだろう。そうなると気になるのは、今後こうした車両が作れるのかだ。
「手法は問題ないのですが、CB-Fの場合、エンジンパーツの調達にどうしても時間がかかります。それをご理解いただければ、まだ何とか作れるとは考えてます」と中村さん。依頼するなら、この回答が得られるうち。そして依頼した後も完成までじっくり待てることが大事だ。
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Detailed Description 詳細説明
Z用スカルプチャーφ43 SPステムKIT Type1でオフセットを45→35mmとしてフロント17インチに対する適正トレール量を確保。フロントマスターはブレンボRCS、クラッチホルダーはコーケン。メーターは純正を使う。ハンドルバーはデイトナRCMコンセプトだ。
シートは手作業で肉抜き加工して表皮を張り直している。全身の赤=FBカラーは奥進で塗装している。
ステップはナイトロレーシング。クラッチは純正ワイヤ式のため、スプロケットカバー(ジェイズ)まわりのみ変更する。ドライブチェーンはEK530RCM(BK;GP)を使う。
外観をガンコート仕上げしたエンジンはφ65mm鍛造ピストンでの915cc仕様でボーリング/ホーニング、クラッチハウジング分解→クラッチダンパー交換、バルブガイド入れ替えにクランクジャーナルラッピング/修正/バランシング。バルブガイド打ち替えにシートカットといった内燃機加工をDiNxで行っている。この作業内容も進化しているということだ。
キャブレターはTMR-MJNφ36mmのデュアルスタックファンネル仕様で、本体のトップキャップやドレンボルト等はボディカラーに合わせた赤としている。
ノーブレスト・オーリンズ正立φ43 E×MパッケージでRWUフォークをセット。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシング“RCM”コンセプトの組み合わせ。
リヤブレーキはブレンボP2-CR84リアキャリパー+サンスターφ250ディスク。マフラーはナイトロレーシングの4in1“ウェルド”クラフトチタン3D EXマフラーでナイトロレーシング・コニカルチタンサイレンサーV-Ⅰを接続。
ホイールはO・Z GASS RS-Aの3.50-17/6.00-17サイズ。リヤサスはスカルプチャー・R.C.M専用ワイドスイングアーム(Z用を加工)+オーリンズ・レジェンドツイン(HO134)だ。