RCBレプリカ製作の手法を6発CBXに応用する
「当店の“CB-RS”カスタムを見たオーナーさんが“これをCBXで作れないか?”とおっしゃられて着手した車両なんです」
タジマエンジニアリングの現代表・村嶋さんが製作のきっかけを言うこの車両。CB-RSとはタジマのコンプリートカスタムで、ホンダCB-Fシリーズをベースに、その元と言える往時のホンダファクトリーレーサー・RCBのイメージを与えたもの。足まわりは現代ホンダ車パーツを巧みに組み合わせて17インチ化するとともにトレール量を確保するなど前後17インチに適合したディメンションとし、フレーム本体も20カ所におよぶ補強を行って、現代タイヤからの入力に対して十分以上の剛性を確保し、タイヤ性能を生かす。
エンジンもクランクシャフト軽量加工&バランシングやバルブガイド打ち替え等によるバルブまわりの正常化、十分なエアフローを確保するポート加工等でスムーズにパワーを引き出すという独自メニューを施していた。2010年頃に1号機が作られ、以後’24年中盤までに4台が作られている。
その手法を空冷直列6気筒のCBXに投影したわけだ。CB-Fと同じ時代のホンダ・フラッグシップとは言え、フレームやエンジンの構成には当然ながら違いがある。でも、そこを難なくと言って良いほどにクリアしてくるのが、先代・田島さんと村嶋さんが築いてきた前述のような手法だった。
「基本的にはCB-RSと同じように作業を進めています。フレームは当店で作ってきた17インチCBXと同じ22カ所の補強を行って、足まわりもCBR1000RRとVTR1000SPⅡ混成で現代の純正らしく見えるような仕上がりにしています。エンジンは排気量は1062ccのままですがヘッドチューンやクランク軽量加工も行ってます。タンクはアルミワンオフで、車両重量も装備で220kgあたりになっています」と村嶋さん。CBXは乾燥で247kgという重量(公称値)だったから、装備で50kg近くと、かなり軽くされている。
同じ“タジマRS”どうしで積んでいるエンジンが4発か6発程度の違いですよという補足説明からは、RSの基本の手法が村嶋さんに染みついていることさえ匂わせてくれる頼もしさも見える。同店では往年の6気筒ファクトリーレーサー、RC166イメージでも“CBX-RS”を製作中という。完成の暁にはそちらも是非見てみたい。
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Detailed Description 詳細説明
ステアリングステムやセパレートのハンドルまわりはCBR1000RR(SC59)でメーターはオリジナルパネルの中央にスタックST200エンジン回転計を置き、左にエースウェルACE-153速度計/時計/走行距離計/燃料計、右にヨシムラPRO-GRESS2テンプメーターを配置する。
フロントカウルはRC30べースでステーはタジマ製アルミ、燃料タンクはタジマワンオフアルミで容量は22L近辺という。
フロントマスターも現代のホンダ純正。フレームはCBXのダイヤモンドタイプを元にネックまわりほか22カ所を補強した。
シングルシートもタジマワンオフでライダー用シートはフォームのみでなく内部フォーム+表皮できちんと構成される。カウル類はズースファスナー(マイナスドライバーを使うクイックファスナー)ですぐ着脱できる。
DOHC4バルブの空冷直6エンジンは寿命のことも考えて1062ccの排気量はそのままに(ワイセコピストンも用意されているがストックしている)、ポート加工やバルブまわりのヘッドチューニングとカットクランク加工等のタジマエンジニアリング流チューニングが施される。車体側軽量化とも相まってパワー感もスムーズさもぐっと高められた。
6連ボディのキャブレターはFCRφ33mmを使う。排気系にはチタン6-2-1のMotoGearを装着。
足まわりの構成はタジマCB-RSの4号機に準じていて、フロントフォークはCBR1000RR(SC57)のインナーにVTR1000SP2のアウターを組み合わせた上でカートリッジ延長等内部加工している。フロントキャリパーはAPレーシング・CP7853を使う。
リヤキャリパーはAPレーシング・CP4226。3.50-17/6.00-17サイズのホイールはCBR1000RRでスイングアームはウイリー製をベースとしてスタビ追加したものだ。
リヤショックはCB-F/CBXについてタジマがデータを持ち、両車用製品の開発にも協力したアラゴスタの3WAY Damping Adjuster ビギーバックタイプ ツインショックをセットする。タイヤはブリヂストンで撮影時はS21を履いていた。ドライブチェーンにはEK ThreeD 520Zを選択した。