ツーリング向け&ドレスアップに利便性向上をプラス
ゲイルスピードをはじめとしたブランドによってスーパースポーツやネイキッドのカスタム向けのオリジナルパーツを展開するパーツメーカーと位置づけできるアクティブ。同社にはもうひとつの側面がある。それは世界中のバイクパーツや用品を日本に紹介するディストリビューターであることだ。オランダ・ハイパープロ製ショックやスロベニアのアクラポビッチ製マフラー、アメリカ・ゼログラビティ製スクリーンなどは、カスタムの定番として、この欄で取り上げる車両群への装着率も高いのはご存じの通りだ。
そんな、アクティブが扱い元となっている海外ブランドに、ドイツ製「SWモテック」がある。バッグやキャリア類、ナビゲーションシステム用アクセサリーや電源供給パーツ、さらにポジションパーツやプロテクターなどを製造している。
SWモテック製品の特徴は、車種ごとに設計したものが多いこと。このレブル1100DCTは、そのSWモテック製アクセサリーパーツで仕立てられたもの。2024年春の東京モーターサイクルショー・アクティブブースにも展示されていたものだ。
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装着されたSWモテック製品は、「SLCキャリア」を介して装着されるサイドバッグと、「タンクリング」を介して装着するタンクバッグ。ベースとしてSLCキャリア、タンクリングを付けておけば、SWモテックが複数用意するバッグ類が容易に付け替えできるのもいい。ここでは13種類あるタンクバッグから「PROマイクロ」を、サイドには完全防水セミハードシェルの「SYS-BAG M WP」が装着され、ツーリング性能を高めてくれる。ラジエーターガードやクラッシュバー(エンジンガードパイプ)もSWモテック。またヤマハがダンパー本体を製造し、各車種専用のマウントキットをアクティブが開発・製作して販売するパフォーマンスダンパー(ヤマハ以外もラインナップする)も装着。共振を抑えることで快適性やハンドリングも向上している。
もうひとつ、このレブル1100DCTには大きな特徴があった。ハンドル左側にレバーがあるのだ。ベース車がクラッチ操作不要(MTモードはボタン操作による)DCTだから本来レバーレス仕様なはずだ。
「これはクラッチ用でなく、リヤブレーキの作動用レバーです。MotoGPマシンなどで使われる、左手で操作できる『サムブレーキ』を、試しに通常のレバー位置に割り当てて使ってみよう、というアイデアで装着してみました」とは、アクティブ・開発部の福田哲史さん。
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右レバーがフロント、左レバーがリヤブレーキは、考えてみれば自転車やスクーターで見るレイアウト。それが走り出して使ってみると、こうしたバイクでもごく自然に操作できる。通常のマニュアルミッション仕様の場合は、こうしたレイアウトを採った場合に親指で操作するサムブレーキとなり、もう1本あるレバー=クラッチレバーとともに左手が操作を行いつつ、親指を動かすことになる。それには操作に慣れるというステップが必要だが、クラッチ操作が不要なDCTならば、レバー設置のスペースも問題ない上、操作も自然に行える。クラッチレバーがないモデルには、有効なカスタム手法と言っていいだろう。
左レバーでリヤブレーキが操作できるイージーコントロール。これなら長距離も楽にこなせそうで、完成度の高いものだった。登場から15年(初出は2010年7月のVFR1200F DCT)が経とうとするDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を先陣として、各車両メーカーも煩わしいクラッチ/シフト操作を簡略化、あるいは省略できる機構を持ったモデルを送り出してきた。クィックシフターもそのひとつだし、最近で言えば’24年にホンダがCB650R/CBR650R、次いでレブル250にバリエーション設定したE-Clutchがある。ヤマハもMT-09にY-AMTを設定してきた。そんな環境下でこの左ハンドブレーキ仕様からは、まだまだ装着方法等を模索中とは言いながら、カスタムによってもっと便利で楽しくできるという発想の広がりが感じられる。もちろん、SWモテックの各種パーツが醸し出す全体のまとまりにも、注目しておきたい。
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ハンドルは汎用のACTIVE ROAD スチールハンドル [ハイタイプ] ブラックとし、左側にラジアルポンプの左ブレーキマスター(ゲイルスピードVRDダークエディション)を置いてゲイルスピード・サムブレーキ用マスター(右ステップ部)にラインを直接接続した。DCT仕様が標準装備するパーキングブレーキは車体右側のクラッシュバー上に移設している。バンク角が深くてもリヤブレーキが操作できる、左手リヤブレーキのメリットも加えられるように取り付け方法等は検討が進む。またフロントブレーキマスターもゲイルスピードVRDダークエディションとして左右のルックスも揃えた。ミラーはSWモテックのSPORTミラー ロングタイプに換えられている。
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タンクキャップと共締めされる構成の車種別設計タンクリングを装着すれば、マグネットでニーズに合わせてSWモテック製各種タンクバッグを容易に着脱できる。
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今回装着されていたタンクバッグはSWモテック・PROマイクロ(容量3〜5L)。容量や形状などによって、13種類のバリエーションがラインナップされる。
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リヤフェンダー左右に見える三角形のパイプ状パーツ=SWモテック・サイドキャリアを装着しておけば、ここに装着するバッグのタイプを自由に選択できるのがSWモテックの特徴だ。
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ここで装着しているのが完全防水セミハードシェルのSWモテック・SYS-BAG WP M。サイドキャリアのおかげでバッグと車体の傾き角が異なるようなこともなくてすむしバッグ単体の運び出しも容易になる。
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キャンバス地を使ったSWモテック・ネオクラシックの装着例。ハードシェルのABSサイドケースもチョイスできる。シートにはポリウレタン製エアクッションを内蔵して尻の痛みや汗などを軽減するSWモテック・トラベラークッションも追加。
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130/70-18サイズのフロントタイヤや3.50-18サイズのホイール、φ43mmのフロントフォークやラジアルマウントキャリパーのフロントブレーキ等は純正状態だ。
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丸型鋼管製スイングアームやピギーバックタイプリザーバーを持ったリヤショック、5.00-16サイズのリヤホイール等も純正のまま。
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エンジンなどの動力系はノーマルのままSWモテック製アクセサリーを追加。SWモテック・クラッシュバーは人気商品という。そのガードバーにSWモテックEVOフォグライトキットも備えられる。
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車体系やサスはノーマルのままだが、車体左にはACTIVEパフォーマンスダンパー REBEL1100用を備え、共振を抑えて車体に芯を感じさせ、乗りやすさを高めるようにしている。
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マットブラックの純正エキパイにはSWモテックのヘッダーパイププロテクションを追加した。