TCメッキのトラスフレームなど現代でも通用する美しさを備えている
2サイクル250㏄といえばレーサーレプリカが主流だった1987年、ヤマハはSDRを発売する。
トラスフレームに195.0㏄水冷ケースリード単気筒を搭載したSDRは、軽快な操縦性と運動性能、強烈な加速感といった2ストロークスポーツならではの魅力を常用域で楽しめるマシーンとして開発された。2
だが1人乗りなど割り切った設計からか、大きな支持を受けることはなかった。
1987 SDR/2TV
車体サイズは、全長×全幅×全高:1945㎜×680㎜×1005㎜で、TZR125とほぼ同じ。
しかし、TZR125はスチール製のデルタボックスフレームなのに対して、SDRはトラスフレームであり、さらにシングルシーターということもあって、はるかにコンパクトに見える。
なお、SDRは初代1代限りと短命だったが、アップルレッドとメルティンググリーンがまず登場、後にシャイニーブラックを追加し、計3色から選択できた。
「TZR250よりも速い!?」
1987年、恵比寿で行われたヤマハSDRの新車発表会で開発担当者は「TZR250よりも速いだろう」と言った。125ccクラス並みのコンパクトな車体に200ccの新設計2ストシングルエンジンなら可能なのかもしれないと高揚したのを覚えている。
搭載されるエンジンは、DT200Rの水冷ピストンリード単気筒ではなく、TZR125の水冷ケースリード単気筒をベースに195.0㏄(66×57㎜)にスケールアップしたもので、これをオーソゴナルマウントすることで振動を軽減している。
さらに、このエンジンには吸気脈動を平滑化するYEIS(ヤマハ・エナジー・インダクション・システム)、排気効率を高めるYPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム)、レスポンスを向上するフラットバルブキャブレターといったヤマハならではの技術を投入。
最高出力は34ps/9000rpmと決してパワフルではないが、軽い車重(諸元上の乾燥重量は105㎏)と相まって、パワーウェイトレシオは3.08㎏/psを達成している。開発中の参考データによると、TZR250を上回る追い抜き加速性能を誇ったとされる。
メーターは機械式の速度計のみとシンプル(水温は警告灯による)で、インジケーターランプがマウントされるアルミ製のブラケットなど、SRX400/600に準じたデザインとしている。また、セパレート式のハンドルやフロントフォークの三ツ叉はアルミ製を用いる。
価格が、RZ250Rの39万9000円よりも2万円、さらにTZR250の54万9000円よりも17万円も安い37万9000円でありながら、安っぽさのような感じはまったく受けない。
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