スズキのアドベンチャーツアラー、Vストロームシリーズの旗艦が大きく進化を遂げEICMA2019で世界初公開された。車名も新たに「1050」となってフルモデルチェンジ。往年の名車「DR-BIG」のテイストを感じさせるスタイリングに、最新テクノロジーと快適装備を充実させて大きく進化したこのモデルを前編・中編・後編に分けて徹底解説しよう。

装備充実の「XT」とシンプルなスタンダードが選べる

画像: V-STROM 1050 XT

V-STROM 1050 XT

2002年に誕生、14年から国内導入がスタートしたVストローム1000がフルモデルチェンジを遂げた。スズキの元祖アドベンチャーモデルDR-BIGを思わせるスタイリングにお色直しした――と思わせながら、実は中身も充実のフルモデルチェンジだ。

エンジン、車体とも、細部まで完成度を充実させたリファインで、最大の進化内容は電子制御スロットルの採用。これで3段階パワーモード切替えが実現し、スタンダードとXTの装備を明確に区別。

特にXTには車体姿勢センサーであるIMUを5軸から6軸に進化させ、あわせて電子制御メカも進化。アドベンチャーとしての走りの質を高めている。

画像: V-STROM 1050

V-STROM 1050

これでVストローム1050は、装備充実のスポークホイール車XTと、シンプル装備のキャストホイール車、スタンダードの役割分担も明確化。

充実装備が欲しいライダーはXTを、装備はベーシックでもコストを抑えたいライダーはスタンダードを、という選択ができる。これぞユーザー目線に立ったラインアップといえるだろう。

日本導入は早ければ春ごろになるかも。スズキアドベンチャーが大攻勢をかける!

V-STROM 1050 XT/角型ヘッドライトとクチバシカウルの採用で、ぐっとシャープになったフロントフェイス。XTにのみエンジンガードが標準装備される。

V-STROM 1050 XT/現行モデルと比べて、よりグラマラスになった新型。XTはハンドルガード装着で、全幅が30mm広く、シート高は5mm低い。

スズキ Vストローム1050/XT 主なスペック

※( )内はXT

全長×全幅×全高2265×870(940)×1515(1465)mm
ホイールベース1555mm
最低地上高165(160)mm
シート高855(850)mm
車両重量236(247)kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ90度V型2気筒
総排気量1037cc
ボア×ストローク100.0×66.0mm
圧縮比10.8
最高出力107.44PS/8500rpm
最大トルク10.19㎏-m/6000rpm
燃料タンク容量20L
変速機形式6速リターン
キャスター角25.30゜
トレール量109mm
タイヤサイズ(前・後)110/80R19・150/70R17
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク

スポーツツアラーのような伸びのある特性に期待!(バイクジャーナリスト:和歌山 利宏)

画像: V-STROM 1050 XT(オプション装着車)

V-STROM 1050 XT(オプション装着車)

新型の1050は、従来型1000の正常進化とみていい。

車名が違っても排気量は同じで、電制スロットルの投入でエンジン制御を高度化させ、IMU(慣性計測ユニット)によって電子制御を高次元化。新たな排ガス規制のユーロ5に合致させながら、7PSの出力向上も実現している。

気になるところは、最大トルク回転数が、4000rpmから6000rpmに、最高出力回転数も500rpm高い8500rpmに高められたこと。カムプロファイルも高回転型特性としている。

重量車らしいトルク感も魅力だった従来型だが、新型のパワー特性はアドベンチャーというより、高回転での伸びも楽しめるスポーツツアラーに近い特性ではないだろうか。

とは言え、Vストロームは扱いやすさとスポーティさが素晴らしいだけに、大いに期待したい。シートは前部が絞り込まれ、足着き性も悪くなさそうだ。

文:和歌山 利宏

V-STROM 1050 XT

バリエーションモデルの役割分担がハッキリしたVストローム1050シリーズ。車体色とグラフィックにも差があらわれ、写真のXTのほうがスポーティかも! 懐かしのパリダカマシンDR-BIGを思わせる白オレンジの人気が出そう!

V-STROM 1050

ベーシックモデルの意味合いがより色濃くなったスタンダードも3色展開。グラフィックもシンプルで、ブラックを基調に白、グレー、黒を合わせるバリエーションで、ベテランの旅人はこちらのシンプルカラーを選びそう。

スタイリングイメージは「DR-BIG」

画像: スズキ DR750S (1988年)

スズキ DR750S (1988年)

Vストローム1050のデザインモチーフとなっているのが1988年デビューのDR750Sだ。パリダカマシンDR-Zのもとになったモデルで、デザートレースでの戦闘力を狙った油冷単気筒エンジンを搭載していた。

まとめ:月刊オートバイ編集部

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