装備充実の「XT」とシンプルなスタンダードが選べる
2002年に誕生、14年から国内導入がスタートしたVストローム1000がフルモデルチェンジを遂げた。スズキの元祖アドベンチャーモデルDR-BIGを思わせるスタイリングにお色直しした――と思わせながら、実は中身も充実のフルモデルチェンジだ。
エンジン、車体とも、細部まで完成度を充実させたリファインで、最大の進化内容は電子制御スロットルの採用。これで3段階パワーモード切替えが実現し、スタンダードとXTの装備を明確に区別。
特にXTには車体姿勢センサーであるIMUを5軸から6軸に進化させ、あわせて電子制御メカも進化。アドベンチャーとしての走りの質を高めている。
これでVストローム1050は、装備充実のスポークホイール車XTと、シンプル装備のキャストホイール車、スタンダードの役割分担も明確化。
充実装備が欲しいライダーはXTを、装備はベーシックでもコストを抑えたいライダーはスタンダードを、という選択ができる。これぞユーザー目線に立ったラインアップといえるだろう。
日本導入は早ければ春ごろになるかも。スズキアドベンチャーが大攻勢をかける!
スズキ Vストローム1050/XT 主なスペック
※( )内はXT
全長×全幅×全高 | 2265×870(940)×1515(1465)mm |
ホイールベース | 1555mm |
最低地上高 | 165(160)mm |
シート高 | 855(850)mm |
車両重量 | 236(247)kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ90度V型2気筒 |
総排気量 | 1037cc |
ボア×ストローク | 100.0×66.0mm |
圧縮比 | 10.8 |
最高出力 | 107.44PS/8500rpm |
最大トルク | 10.19㎏-m/6000rpm |
燃料タンク容量 | 20L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25.30゜ |
トレール量 | 109mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/80R19・150/70R17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
スポーツツアラーのような伸びのある特性に期待!(バイクジャーナリスト:和歌山 利宏)
新型の1050は、従来型1000の正常進化とみていい。
車名が違っても排気量は同じで、電制スロットルの投入でエンジン制御を高度化させ、IMU(慣性計測ユニット)によって電子制御を高次元化。新たな排ガス規制のユーロ5に合致させながら、7PSの出力向上も実現している。
気になるところは、最大トルク回転数が、4000rpmから6000rpmに、最高出力回転数も500rpm高い8500rpmに高められたこと。カムプロファイルも高回転型特性としている。
重量車らしいトルク感も魅力だった従来型だが、新型のパワー特性はアドベンチャーというより、高回転での伸びも楽しめるスポーツツアラーに近い特性ではないだろうか。
とは言え、Vストロームは扱いやすさとスポーティさが素晴らしいだけに、大いに期待したい。シートは前部が絞り込まれ、足着き性も悪くなさそうだ。
文:和歌山 利宏
V-STROM 1050 XT
バリエーションモデルの役割分担がハッキリしたVストローム1050シリーズ。車体色とグラフィックにも差があらわれ、写真のXTのほうがスポーティかも! 懐かしのパリダカマシンDR-BIGを思わせる白オレンジの人気が出そう!
V-STROM 1050
ベーシックモデルの意味合いがより色濃くなったスタンダードも3色展開。グラフィックもシンプルで、ブラックを基調に白、グレー、黒を合わせるバリエーションで、ベテランの旅人はこちらのシンプルカラーを選びそう。
スタイリングイメージは「DR-BIG」
Vストローム1050のデザインモチーフとなっているのが1988年デビューのDR750Sだ。パリダカマシンDR-Zのもとになったモデルで、デザートレースでの戦闘力を狙った油冷単気筒エンジンを搭載していた。
まとめ:月刊オートバイ編集部