スペシャルコラム:太田安治
「スペックには表れない魅力を備えたトレール」
初代セローが登場した1985年当時、僕は33馬力の2ストエンジンを搭載したヤマハ「DT200R」に乗っていた。
20馬力のセローに乗る友人と一緒に林道に入ればセローは遅れる一方。しかし道が荒れるに従って差は縮まり、ゴロゴロの石が転がるガレ場やヌタヌタの泥濘地ではホイールスピン連発で前に進まないDTを横目に、セローの友人はペタペタと足を着きながら何事もないかのように走り抜けていく。
数値だけでは判らない「トラクション」と、二本の足の威力を思い知らされた。
最近はカワサキ「KLX250」で林道を楽しんでいるが、かつてのように飛ばすこともなく、体力も落ちた今では持て余すこともある。
娘が免許を取ったらセローに乗り換えて共用するつもりでいただけに『ファイナル』のアナウンスは大ショック。生産終了となると中古車相場は上がるだろうから、今のうちに中古を買うか、新車を買うか悩み中だ。
文:太田安治
ヤマハ「セロー250 ファイナルエディション」主なスペックと価格
全長×全幅×全高:2100×805×1160㎜
ホイールベース:1360㎜
シート高:830㎜
最低地上高:285㎜
車両重量:133㎏
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量:249㏄
ボア×ストローク:74×58㎜
圧縮比:9.7
最高出力:20PS/7500rpm
最大トルク:2.1㎏-m/6000rpm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:9.3L
キャスター角/トレール量:26度40分/105㎜
変速機形式:5速リターン
ブレーキ形式 前・後:ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後:2.75-21(チューブタイプ)・120/80-18(チューブレス)
メーカー希望小売価格(税込):58万8500円
ツーリングセローは税込64万4600円
セロー250 ファイナルエディションの各部をチェック!
優しく頼もしい“等身大の山の相棒”
シンプルで軽くコンパクト。山での扱いやすさを徹底的に追求したマウントトレールは、その素性の良さが幅広い使いみちにつながり、多くのライダーに愛される相棒へと育まれていった。ここで各部を見ながら、その魅力を振り返ろう。