ヤマハ新型「MT-09」車両概要

YAMAHA MT-09 ABS
総排気量:890cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:825mm
車両重量:189kg
フルモデルチェンジでMTらしい走りの喜びを磨く
2014年にデビューしたMT-09は、クロスプレーン・コンセプトに基づく水冷並列3気筒エンジンと、ロードスポーツとスーパーモタードを融合したような、独特な構成の車体を組み合わせた個性的なスポーツネイキッド。「意のままに操る悦び」が支持されモデルチェンジを重ねてきたが、今回初のフルモデルチェンジだ。
「トルク&アジャイル」というコンセプトはそのまま継承しながら、スタイリングはよりアグレッシブに進化。エンジンは排気量を845ccから890ccとしてパワーアップ。フレームもCFダイキャスト技術を用いて、しなやかな細身のものに一新。あわせてYZF-R1譲りの6軸IMUを搭載し、ライディングをアシストする高度な電子制御機能も採用。定評のあった爽快な乗り味を磨き上げた。
従来モデルと同様、ハイグレードなサスペンションや専用カラーなどを持つ「MT-09 SP」もラインアップ。国内発売は2021年春以降と思われる。
ヤマハ新型「MT-09」宮崎敬一郎のココがポイント!

豪快な乗り味の魅力がどう進化したかに期待
MT-09は、もともと、またがった瞬間にハッキリと分かるほど車体が軽くて、走ればエンジンのピックアップ、瞬発力が強烈。お得感たっぷりのプライスや、使い勝手の良さはスタンダードスポーツモデルなみだが、その動力性能を底力にした「暴れん坊」キャラを潜ませているのが特徴だと思っている。
今回登場した2021年モデルは外観デザインを一新。非常に個性的なフロントマスクになったが、実車を見ると、写真で見るよりもコンパクトな印象を受ける。
官能的なサウンドのトリプルエンジンは中域を中心にトルクを増強しているそうだ。開ければ途端にパワーリフトするようなワイルドさはこれまで以上なのかもしれないが、車体はフレームから新作し、電制ライディングアシスト群も進化しているので、ただの暴れん坊ではなく「聞き分けのいい暴れん坊」になっているはず。個人的には足回りの接地性も向上していると、とても嬉しい。
ヤマハ新型「MT-09」各部装備・ディテール解説

スリムで腰高なフォルムは基本的に従来モデルを受け継ぐ。個性的なフロントマスクの採用など、よりアグレッシブな雰囲気が強まった。

ボリューム感溢れる有機的な形状の燃料タンクと、コンパクトに切り詰められたテールの対比によって、軽快な走りを想像させられる。

ロービーム/ハイビーム一体のシングルLEDヘッドライトを活かした、コンパクトなフロントマスク。独特の存在感を感じさせるデザインだ。

コンパクトなメーターパネルは、3.5インチのカラーTFT液晶を使用。デジタル速度計&バーグラフ回転計を中心に、多彩な機能を備える。

ストロークを伸ばして排気量を890㏄まで拡大し、パワーアップに加えEURO5規制にも対応。アシスト&スリッパークラッチも装備。

クラッチ操作なしでシフトアップ・ダウン操作ができる、クイックシフトシステム(QSS)を装備、よりスポーティなライディングに対応。

新デザインのホイールは、スピンフォージド製法の採用で従来より700g軽量化。ストロークの長いφ41㎜倒立フォークはフル調整式。

フレームに合わせてアルミ製スイングアームも軽量なものが新たにデザインされ、より確かなハンドリング性能の実現に寄与している。
2021 Yamaha MT-09: Features & Benefits
www.youtube.comヤマハ新型「MT-09 SP」特徴

上級モデル「SP」は専用カラー&シートの採用に加え、フロントフォークをKYB製、リアサスはオーリンズ製にグレードアップ。クルーズコントロールを装備しているのもSPの特徴だ。
ヤマハ新型「MT-09」主なスペック(欧州仕様)
全長×全幅×全高 | 2090×795×1190mm |
ホイールベース | 1430mm |
最低地上高 | 140mm |
シート高 | 825mm |
車両重量 | 189kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 |
総排気量 | 890cc |
ボア×ストローク | 78.0×62.1mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 87.5kW(119PS)/10000rpm |
最大トルク | 93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm |
燃料タンク容量 | 14L |
キャスター角 | 25゜ |
トレール量 | 108mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17M/C(58W)・180/55ZR17M/C(73W) |
ブレーキ形式(前・後) | 298mmダブルディスク・245mmシングルディスク |
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝