900F/1100Fのクラフトマンシップではラスト1台
サンクチュアリーによるコンプリートカスタム車、RCM(Real Complete Machine)。このホンダCB1100F/RCM-460は同店スタッフ主導で製作された後に販売される“RCMクラフトマンシップ”による車両だ。ただ、RCM定番の空冷Zの場合とは、製作までの事情はかなり違っていたようだ。
「1100Fのベース車両が安く入手できたので、自分たち流でCB-Fカスタムを作ろうというのが出発点でした。それが、とにかくパーツがない。RCMの謳う“ベストコンディション”を満たすためにまずエンジンオーバーホールする、その時点で必要なものが揃わないんです。市本ホンダ・市本さん始め、CB-Fに詳しい方にも話を聞いたりしました。
オークションも駆使したりして、結局パーツが揃って手を付けて完成するまでに1年がかかりました。そのほかの内容はRCMらしく17インチディメンションの作り込みや各部パーツの吟味と行っていますが、この車両はさすがに時間がかかり過ぎでした。同じ絶版車でもZの場合は車両枯渇が進んでいますが、まだパーツで困ることはない。でもCB-Fは欠品パーツが多くて大変。ですから1100Fと900Fに関しては、販売前提のクラフトマンシップとして作るRCMはこれが最後。オーナーさんからのオーダーによる車両は作りますが、こうした事情から、少しお時間はいただくことになると思います」
サンクチュアリーの中村さんはこう、その背景を説明する。コンロッドボルトやナット、クラッチハウジングやカムチェーンテンショナーなど、純正で既に出ないパーツが多い1100Fの現状をもろに受けた感じとなってしまったこの車両。純正代替品を使う選択肢もなくはないのだが、パフォーマンスパーツ以外であるパーツは以後のメンテナンス事情等も考えて極力純正を使うというRCMの定義では、そこには至らない。
それでも、まだ可能性はある。次なるRCM・CBの登場にも期待を持っておきたい。
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