ずっと大事にできる仕様を目指して作り込む
チタンマフラーや一部機能パーツ以外、フルブラックでまとめられた前後17インチホイール仕様のカワサキ・ゼファー1100。
「オーナーさんが友人から譲り受けたという車両で、元からエンジン等も手は入ってたんです。それを、思い入れがあるバイクだからずっと乗るんですということで、当店で手直ししました」と、サンクチュアリー・コウガの立入さんは言う。
ダイマグ3本スポーク・マグホイールほか、譲り受けた時点で付いていたパーツはほぼそのまま使い、オーナー自身が持っていたパーツも加えつつ、必要な部分を改良。フロントフォークはナイトロンのプロトタイプ(当時)でキャリパーサポートがボトムピース一体のため、フォークスパンとホイール、ブレーキまわりが合わない分をディスクインナーのオフセットを変えて作り、合わせ込んだ。同時にフロントアクスルもφ17→25mmに大径化する。リヤショックもナイトロン・ステルスだが、取り付け位置が変更されている。
「これはゼファー1100/750/400ともども、私がネックだなと思う部分なんです。リヤショックのアッパーマウントが後ろ寄りで、いい位置ではない。そんな理由でレイダウンさせつつ、前に置き直しています。ほかにもTMRキャブレターは中古状態から、新品のような気密性を取り戻すようにオーバーホール、エンジンも各部のWPC処理やピストンピンなどへのDLC加工、ベンチレーションホール加工にドリームクラフト製6速ミッションなども加えて、全体でひと通り、やるべきことをやりました」
そう言う立入さん。外観でも、メーターケースをノーマルシルバーから黒として全体の色調を揃えていくなど配慮している。
「派手さはないですけど、ずっと大事に乗っていくというバイクですし、そのためのこうした外観、内部の各部処理など、必要なコストもかけてます。オーナーさんも“今の水冷ネイキッドに引けを取らなくて速い”ってオイル交換ごとに言ってくれてます」とも。そのオイル交換頻度もまめだといい、これこそ、オーナーのこのバイクへの満足度を示している証だろう。
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Detailed Description 詳細説明
ステアリングステムは前ホイールの[純正値:18→]17インチ化対応品に変更、メーターケースはツヤありのブラックをセットし、ハンドルバー中央にヨシムラ・プログレスメーターを追加している。ハイスロットルはアクティブで、左右マスターシリンダーはニッシン・ラジアルポンプをセットする。
燃料タンクほか外装類、シートはゼファー1100ノーマルだが、シートは一般的なロックキー操作でなく、レバー操作で開くようにフレーム側を加工している。その他、フレームは本文のようにリヤショックアッパー移動を兼ねてのレイダウン加工のみを行っている。
エンジンはコスワースφ76mmピストンで[純正値:1052→]1197ccとし、アニーズ製カムを組む。ピストンピンへのDLC加工や各部WPC加工、気筒間のベンチレーションホール加工を行い、トータルでのフリクションロス低減を行っているという。これは長寿化にも効くメニューだ。
キャブレターはTMR-MJNで、内部シム調整等、本来の気密性を取り戻すようにオーバーホール済み。ミッションはドリームクラフト製6速クロス(ノーマルはロング傾向の5速)をセットと、エンジンはトータルでパワーもありつつスムーズな仕様に仕立てられた。
モナカ合わせのアルミサイレンサーでも分かるように、マフラーは4-1のモリワキ・チタンモナカ。ステップはナイトロレーシングだ。
フロントフォークはナイトロンφ43mmのプロトタイプ(当時)で、フロントキャリパーはタロックス4ピストン。ディスクはサンスターだがφ320mmアウターにPCDとオフセットがホイールとフォークスパンに合うように、インナーをワンオフしている。アクスルも[純正値17→]φ25mmにサイズアップ。
スイングアームはゼファー1100ノーマルのままで、リヤショックはナイトロン・ステルス。リヤのアクスル径はゼファー1100ノーマルのφ20mmのまま使用する。
前後ホイールは3.50-17/5.50-17インチのダイマグ3本スポークで、リヤには60扁平タイヤを履く。リヤキャリパーもフロント同様にタロックスで、こちらは2ピストンだ。