文：宮﨑健太郎（ロレンス編集部）
※この記事は「ロレンス」で2022年5月12日に公開されたものを転載しています。
イスラエルの、それぞれの業界リーダーの2社と提携！
本拠のある台湾だけでなく、近年はインド、中国、インドネシアなどの市場での展開計画を進めているGogoroは、2022年夏よりテルアビブ首都圏をはじめとするイスラエルの主要都市で、電動スクーター用バッテリー交換ステーション網を立ち上げます。
2015年から台湾でサービスをはじめたGogoroは、製造業者として電動スクーターを販売するとともに、動力用交換式バッテリーの交換を気軽にできるGoステーションという設備を広範囲に展開。高価なバッテリー代を販売価格に転嫁せざるを得ないというすべての2EVの問題のひとつの解決策として、バッテリーはサブスクリプション方式にすることで車両本体価格を抑制するという方策を打ち出し、成功をおさめています。
www.gogoro.com新たにGogoroが進出するイスラエルでのビジネスパートナーとなるのは、同国の2輪車販売代理店の大手であるメトロモーターと、同国の大手ガスおよびエネルギー企業であるPAZグループの2社です。
なおメトロモーターはカワサキ、ヤマハ、台湾のSYM、そして米国の2EV専業メーカーのゼロ・モーターサイクルズの代理店であるため、2EVの取り扱いに対する経験を有しています。そして最近、メトロモーターはゼロのほかGogoroを輸入販売するための「メトロ・エレクトリック・ディヴィジョン」を設立しており、イスラエルにおけるGogoroのサービス開始の準備は万端といったところでしょう。
今までGogoroの進出先は"東"がメインでしたが、今後は"西"へも・・・？
電動スクーターのユーザーは、どの国でも首都圏での利用が中心という傾向があります。地価が高い首都圏は集合住宅に住む人が多く、充電設備を備えたガレージを用意できないため、電動スクーターに興味があるけど手が出ない・・・という問題を抱えた人も少なくありません。
その点でGogoroが生み出した「バッテリー交換ステーション」というサービスは、自宅や職場での電動スクーターへの充電という煩わしい作業を不要とし、さらにバッテリーを「サブスクリプション」化することで電動スクーター本体価格を下げることにも成功したのが画期的でした。
2015年のサービス開始以来、Gogoroのステーション網にて行われたバッテリー交換数は2億7,500万件を超えており、現在は1日あたり35万件以上のバッテリー交換をGogoroは管理しているそうです。なおGogoroのプラットフォームを利用する、電動スクーターメーカーの製品利用者を含むGogoroユーザーは世界に46万5,000人以上で、バッテリー交換が可能なGoステーションの数は、設置場所2,185箇所に1万以上まで増加しています。
Gogoroの技術プラットフォームを採用した各メーカーの一群は、「PBGN」と呼ばれ電動スクーター業界の一大勢力を形成しています。現在Gogoroは全固体電池の交換式バッテリーを開発中ですが、2015年のサービス提供初期のモデルでも、最新の交換式バッテリーとの互換性を維持しているところも、Gogoroの大きな強みのひとつでしょう。
www.gogoro.comホレス・ルーク（Gogoro創業者兼CEO）
「私たちは世界で最も革新的で、技術的に進んでいる国のひとつであるイスラエルにて、都市部での2輪車モビリティの新時代を築くためにこの製品を発売することを大変うれしく思っています。（中略）私たちは業界をリードするメトロモーターとPAZと提携し、この夏からテルアビブ都市圏で、さらに将来的には他の都市でも、Gogoroの次世代バッテリースワップ・エコシステムを提供します」
イスラエルでのサービスは、メトロモーターがGogoro製スマートスクーターの販売を担い、PAZグループがバッテリー交換ステーション整備や、専用アプリの管理サービスを提供することになります。
イスラエルにおけるGogoroのサービスのイメージ図。まだイスラエルにおける、バッテリーのサブスクリプションの価格は公表されていませんが、ICE（内燃機関）搭載の125ccスクーターの運用コストよりも低い設定になることが予想されます。
www.ynet.co.il今までGogoroの進出先は、中国、インド、インドネシアなど「東方」がメインでしたが、中東にあれど「西方」の諸国との文化的結びつきが強いイスラエルに進出したことは、今後の欧米進出への嚆矢（こうし、物事のはじめ）になるのかも・・・？ と思わせます。
海外市場への伸長著しいGogoroが、次に進出先として選ぶのはドコになるのか・・・？ 注目ですね！
文：宮﨑健太郎（ロレンス編集部）
