文:太田安治、オートバイ編集部
KTM「125 DUKE」インプレ(太田安治)
斬新なスタイリングと爽快な走りはクラス随一
個性が際立つエッジの効いたスタイルを採用、アップライトなライディングポジションと取り回しの軽さで高いストリート適性とスポーティな走りを備え、幅広い層のライダーから支持されているモデルが125 DUKE。KTMのオーストリア本社で設計・開発し、インド工場で生産される世界戦略車だ。
シャープで先鋭的な造形の、お洒落なストリートモデルでもあるが、ミニサーキットでのラップタイムは同クラスの本格スポーツモデルと互角以上。スポーツ性能を重視するKTMらしさはしっかり受け継がれている。
日本の小型二輪免許に相当するヨーロッパのA1免許では、最高出力が15PS以下に規制されている関係で、スペック表記はライバルとほぼ横並び。だが、同じ15PSでも、絞り出した15PSと抑え込んだ15PSでは動力性能に大きな差がある。これはパワーの出方、落ち方である程度判断できるが、このDUKEは明らかに「抑えた15PS」の方だ。
ライバルに比べ低回転域でのトルクは薄めだが、中回転域からエンジンが活気付き始め、高回転域までフリクションを感じさせずにシャープに回る。吸排気のセッティングや回転リミッターでピークパワーを抑えている印象だが、潜在的なポテンシャルは20馬力近いのではないか、という感触。6速ミッションのレシオ設定も絶妙で、ムダなくパワーを使いながら、軽やかに速度を伸ばしていく。
サスペンションを含めた車体の剛性はこのクラスでもトップレベルで、ライダーのアクションに素早く反応し、寝かし込みや切り返しの鋭さはストリートモデル離れしたもの。前後サス設定はややハードだが、荒れた路面で車体が弾かれても幅広のハンドルで抑え込め、タイヤのグリップ感も掴みやすい。
ハイグリップタイヤに交換してサーキットで走らせたこともあるが、車体関係には何ら不満は感じない。バイブレ製のブレーキも125ccモデルとは思えないほどハイレベルで、ハードな走りにも応えてくれる。
軽量コンパクトな車体が生み出す抜群の扱いやすさ、爽快な動力性能と小気味いい運動性能が125 DUKEの魅力だが、「ロード」と「スーパーモト」モードを備えた2モードABSや、大型のカラーTFTを採用した先進的なメーターなど、充実した装備も所有感を大いに満たしてくれる。125ccだからといって手抜きは一切ない。
KTM「125 DUKE」カラーバリエーション
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