文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
「バーグマンストリート125EX」「アドレス125」「アヴェニス125」比較インプレ(太田安治)
抜群のコスパに加えて、それぞれの個性が光る
スズキの125ccスクーターは排ガス規制対応に伴ってラインアップを一新。この半年の間に3車種が登場した。エンジン/フレームの基本プラットフォームは共通だが、キャラクターはそれぞれ異なっている。
ラグジュアリーなルックスと乗り味にまとめられているのが、最後発となるバーグマンストリート125EX。3車種の中で唯一リアに12インチホイールを採用し、サスペンションもソフトめの設定として荒れた路面での安定性、優しい乗り心地を実現。
エンジンはアイドリングストップ/サイレントスターター機構を備えた豪華版の「SEP+」を搭載。信号待ちなどで停止するとスッとエンジンが止まり、スロットルを開けると音もショックもなく再始動して発進する。加速フィーリングはおとなしく、キビキビ走りを求める人には物足りなく感じるかもしれないが、全開/全閉を繰り返してもギクシャク感はまったく感じられない。
イケイケ感を押し出しているのがアヴェニス。大きめの段差を設けたシートにより、上体でハンドルを押さえ込むようなポジションが取りやすい。ECUは専用セッティングで、スロットルの開け始めと、加速初期のレスポンスの鋭さが特徴。これに締まった設定のリアサスを組み合わせたことでシャープなハンドリングを得ている。引き換えに乗り心地はやや硬め。「通勤快速」と呼ばれていた頃のアドレスに近いキャラクターだ。
アドレス125は「通勤快適」を標榜する仕上がり。どこか懐かしさを覚えるデザイン、ソフトな乗り心地、大柄なライダーでも快適な姿勢が取れるフラットシートなど、実用スクーターとして完成されている。
最安値のアドレスが27万3900円、最高値のバーグマンでも31万7900円という価格設定も魅力的。コスト・パフォーマンスの高さは3車種とも文句なしだ。
コンセプトに合わせた棲み分けと装備の違い
基本的に同じメカニカルコンポーネントを共有するアドレス、アヴェニス、バーグマンストリートの3台だが、走りの味付けについてはそれぞれ違ったコンセプトに仕立てられている。装備に関しても同様で、価格差やキャラクターの違いが反映されている。
スタンダードモデル的なポジションとなるアドレスは、オーソドックスな造りが魅力。メーターも見やすいアナログだし、各部パーツも品よくまとめられている。スポーティさがウリのアヴェニスはデジタルメーターやビビッドなカラーリングを採用し、アクティブなイメージに仕立てられている。
3車中最もラグジュアリーなバーグマンストリートは、アイドリングストップ機構がプラスされており、それぞれの価格に見合った棲み分けがなされている。ただ、どのモデルを選んでもコスパは文句なしだ。