文:横田和彦、ノア セレン/写真:関野 温
歴史的名車の名を受け継ぐネイキッドスポーツの実力をチェック
【横田和彦がこの2台を選んだ理由】
バイク史に残る名車の血統を受け継ぐ、KATANAとZ900RS CAFEの対決をセレクトした横田氏。どのような理由で2台を選び、そしてどう評価するのだろうか。
日本のバイク史に残る名車の子孫をジャッジ
Zとカタナ。老若男女問わずバイク乗りであれば一度は聞いたことがあるはず。その歴史は古く、初代GSX1100Sカタナは1981年にデビュー、Z1に至っては1972年に登場している。その名が現代まで長く記憶されているのには訳がある。生まれた時代の先を行く機構やポテンシャル、唯一無二のデザインなどが多くのライダーの心に刻まれ、語り継がれているからなのだ。
その歴史的名車のDNAを受け継ぐ2台を選んだ理由はズバリ「どっちもオレが大好きなバイクだから」。個人的な話で申し訳ないが、バイクに乗り始めた青春時代にZや刀、CBといった空冷4気筒エンジン搭載車のカスタムが大ブームになった。そのときに先輩たちが乗っていたカスタム車が最高にカッコよく見えた。そしてこの2台からはそれに通じるものを感じるのだ。こんな魅力的なバイク、ほっとけるわけないでしょ!
【ノア・セレンのこれまでの2台の評価】
激速でダイレクトな刀、付き合いやすいZ
カワサキはこういうバイクの作り方が本当に上手だなと感心してしまう。販売台数的にも、近年のビッグバイククラスに与えたインパクトをはじめ、アフターパーツメーカーの活性化という部分に至るまで、大成功と言えるZ900RS。カッコだけじゃなくてとにかく接しやすくて乗りやすいので、いい意味でとても便利だ。もはやこういったネオクラシックという分野を超越して、2020年代のスタンダード車だろう。
対するKATANAはスズキ版ネオクラではあるけれど、こっちはもっとガチなスポーツバイクがベース。オリジナルのKATANAも当時のガチなスポーツバイクがベースだったという意味でコンセプトは変わらないが、スポーツに対する本気度はZとはちょっと違う。乗り物・乗り味としてはライバルじゃない気がする。スズキファンとしてはKATANAを推したいが??
KATANA vs Z900RS CAFE|スペック・カラー・ライディングポジション比較
サイドビュー
KATANA
Z900RS CAFE
スペック比較
KATANA | Z900RS CAFE | |
---|---|---|
税込価格 | 160万円 | 146万3000円 |
全長×全幅×全高 | 2130×820×1100mm | 2100×845×1190mm |
ホイールベース | 1460mm | 1470mm |
最低地上高 | 140mm | 130mm |
シート高 | 825mm | 820mm |
車両重量 | 215kg | 217kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 998cc | 948cc |
ボア×ストローク | 73.4×59.0mm | 73.4×56.0mm |
圧縮比 | 12.2 | 10.8 |
最高出力 | 150PS/11000rpm | 111PS/8500rpm |
最大トルク | 10.7kgf・m/9250rpm | 10.0kgf・m/6500rpm |
燃料タンク容量 | 12L | 17L |
変速機形式 | 6速リターン | 6速リターン |
キャスター角 | 25° | 25゜ |
トレール量 | 100mm | 98mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・190/50ZR17 | 120/70ZR17・180/55ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・ディスク | ダブルディスク・ディスク |
カラーバリエーション
KATANA
Z900RS CAFE
カラーは「メタリックディアブロブラック」のみ。
ライディングポジション比較
比較的似た感じの腰高なポジション
Z900RS CAFEはスタンダードのZ900RSよりもハンドルの高さが低く、シートは中央が盛り上がり20mm高くなっている。そのため往年の名車Z1に近い雰囲気のスタンダードとは異なった軽い前傾姿勢になる。シートのクッション性は高く座り心地はソフトだ。KATANAはハンドルがややライダー寄りで上体は起き気味。対してステップ位置が高めで後ろというスポーティな感じ。シートは路面状況が伝わってくる硬さなのでスポーツ走行しやすい。
KATANA
シート高:825mm
ライダーの身長:165cm
Z900RS CAFE
シート高:820mm
ライダーの身長:165cm
並べて比較
KATANA
Z900RS CAFE