文:横田和彦、ノア セレン/写真:関野 温
KATANA vs Z900RS CAFE|装備比較
往年の名車をモチーフにしているため実用性よりもデザイン優先と感じる点も。少しくらい不自由でも惚れてしまえばアバタもエクボのような気分で押し切れるのだが、やっぱり冷静に見ておこう!
ハンドル
同じバーハンでも雰囲気は違う
見た目ではKATANAのハンドルの方が低くて狭いのではと思っていたが、実際はZ900RS CAFEの方が低い。バーエンドはKATANAがフラットでZ900RS CAFEの方が下がり気味。ハンドル幅は両車ともほぼ同じサイズとなっている。シート高はKATANAが825mm、Z900RS CAFEは820mmとほぼ同じなので乗車中は似たようなライディングポジションになっている。
KATANA
Z900RS CAFE
並べて比較
KATANA
Z900RS CAFE
メーター
マシン特性を表すメーターユニット
メーターユニットは対照的でKATANAのフルデジタルメーターに対し、Z900RS CAFEはアナログ2連式を採用。KATANAはパワーモードやクイックシフターなど表示項目も多いが視認性も高い。起動時には「刀」の文字が浮かび上がる演出も嬉しい。Z900RS CAFEは指針表示のスピード&タコともにシンプルで見やすい2連メーター。中央のギアポジションインジケーターとトラクションコントロールの設定もわかりやすい。
KATANA
Z900RS CAFE
シート
両車とも前が絞り込まれた形状
Z900RS CAFEのシートは、中央が盛り上がっているがクッション性は良好で座り心地が良い。タンデム部は盛り上がっているので後傾気味になってしまう。KATANAはクッションがやや硬めで荷重移動しやすいスポーツ向けという感じ。ガソリンタンクへのつながりがよく、ニーグリップすると面でフィットするような感覚だ。タンデムシートは前後が短く厚みも少なめ。
KATANA
Z900RS CAFE
車載工具
車載工具はシート裏に最小限
最近のバイクは車載工具が劇的に少ない。その一番の原因はABSや電子制御システムなどにより、車体側の収納スペースが減ってしまったこと。そのため車載工具はどちらもシート裏にビルトインされている。Z900RS CAFEはドライバーとスパナと六角レンチ。KATANAはスパナと六角レンチのみ。せめてプライヤーくらいは入れて欲しいなぁと思うのは、テスターが古い人間だからか!?
KATANA
Z900RS CAFE
ヘルメットホルダー
やっぱり別体のほうが使いやすい
ツーリング先で休憩やトイレにいくときなど、身軽になりたいときに役立つヘルメットホルダー。手軽なのはフレームにキーロック式を備えるZ900RE CAFEの方だ。すぐに装着できるのでストレスがない。一方、KATANAは一度シートを外してフレームにあるフックに引っ掛けてからシートを閉じる方式。左右2カ所あるのはよいが、手軽さには欠けてしまう。
KATANA
Z900RE CAFE
ステップ
ゴム付きとなし。どっちがイイ!?
Z900RS CAFEのステップバーにはゴムラバーが装備されている。細かい振動を吸収してくれるので、長時間のライディングでも疲れにくいというメリットがある。しかし、積極的にステップ荷重するスポーツ走行時にダイレクト感を得やすいのがKATANAのアルミステップバーだ。滑り止めがシッカリと彫り込まれているので、ライディングフォームも決まりやすい。
KATANA
Z900RS CAFE
フロントまわり(サスペンション&ブレーキ)
スポーツバイクと同レベルの豪華装備
両車ともに倒立フォーク+17インチホイール+ラジアルマウントキャリパー採用のダブルディスクブレーキと、ほぼ同じパッケージ。しかし挙動はかなり違う。Z900RS CAFEは、しなやかに動きピッチングモーションも大きめ。大排気量車に乗っているぞと感じられる、おおらかなハンドリングだ。
対してKATANAはスピードレンジがひとまわり上で設定してある印象。ハードブレーキングにも負けずに路面を捉え、フロントからグイッと旋回するストリートファイター的なフィーリング。ブレーキのコントロール幅はどちらも広いが、KATANAは泣く子も黙るbremboキャリパーを装備。
リアまわり(スイングアーム&タイヤ)
ベーシックと個性。対象的なリアビュー
オーソドックスな左右対称の軽量アルミ製スイングアームに180サイズのリアタイヤを組み合わせるZ900RS CAFE。素直な動きでトラクションを感じやすい。KATANAはコンセプトモデルのデザインをそのまま量産化。GSX-R1000譲りのワイドな左右非対称のアルミスイングアームから太いステーが伸びナンバーとウインカーが装着される。バネ下重量は重くなるが、コンセプトモデルと同じショートテールのシルエットが再現できた。リアタイヤの幅が190ということもあり、バンク中の姿勢は安定。立ち上がりでアクセルを大きく開けていくこともできる。
荷物積載の実用性
荷物積載はZ900RS CAFEの勝ち!
オーソドックスなダブルシート+テールカウルというシルエットに加え、前後に荷掛けフックを装備するZ900RS CAFEは、ネットによる荷物の固定も容易。気になるのは荷物がないときに後方の固定式フックがやや大げさに見えることか!? 対してKATANAのリアまわりはデザインに振ったショートタイプ。タンデムシート裏にナイロン製の荷掛けフックが装備されているが位置は微妙。実用性に関してはツッコミどころがある。でもそれも現代のKATANAの特徴なんよね。
KATANA
Z900RS CAFE