ノア セレンと横田和彦の凸凹コンビが現行モデル2台をズバッと評価! 今回は名車の血筋を受け継いだビッグバイク、KATANAとZ900RS CAFEを比較。ふたりとも旧車にはめっぽう詳しいので、言いたいことはたくさんあるようだ。
文:横田和彦、ノア セレン/写真:関野 温

KATANA vs Z900RS CAFE|スポーツ走行性能比較

画像1: KATANA vs Z900RS CAFE|スポーツ走行性能比較

ツーリングモデルとはいえ、2台ともスポーツライディングを楽しめる性能を持っている。しかし、それぞれの走りのパフォーマンスは少々方向性が異なるようだ。さて2名のテスターはどのように分析したのか。

画像9: 【比較インプレ】スズキ「KATANA」VS カワサキ「Z900RSカフェ」|スポーツ走行・街乗り・ツーリング性能・装備類まで徹底チェック

横田和彦チェック

アクティブに操るKATANAに対し、柔軟なキャラのZ900RS CAFE

スポーツ指向のKATANA、オールラウンダーのZ

「お〜っ、なかなかイイ感じじゃん!」中速コーナーの出口でアクセルを開けて加速していくとき、KATANAのシート上で思わず声が出た。ワインディングに入ってから試行錯誤しKATANAの走らせ方を探っていたが、狙ったラインをトレースする方法が徐々に見えてきた。純正の足まわりをいかすには、速度レンジは少し高めが良い感じ。

画像2: KATANA vs Z900RS CAFE|スポーツ走行性能比較

コーナーの進入でしっかりとブレーキをかけてフロントを路面に押し付けるように荷重し、タイヤのグリップをいかしつつコンパクトに向きを変え、出口に向かってアクセルを開けていくのだが、路面状況によってはわずかにリアブレーキをナメルようにかけることで挙動が落ち着くシーンも。KATANAはアクセル、前後ブレーキ、ハンドルやステップへの入力などを積極的に行うことで、アグレッシブ&スポーティな走りが成立する。

画像3: KATANA vs Z900RS CAFE|スポーツ走行性能比較

対してZ900RS CAFEの操縦性はフレキシビリティだ。そこまで能動的な操作をしなくても、行きたいと思った方向に意識を向けるとスーッと旋回していく。クイックすぎず、安心できる自然なフィーリングである。もちろん積極的に荷重入力すればレスポンスよく動いてくれるが、肩の力を抜いてリラックスしながら操作してもそれなりに曲がってくれる。

幅広いスキルのライダーによるさまざまな運転に対して、柔軟に反応してくれる懐が深いキャラクターといえるだろう。峠をのんびりと流す走り方から、スポーティに駆け抜けるような走りまで自由度が高いこともZ900RS CAFEの人気が高い理由のひとつではないかと感じた。


ノア セレン チェック

優しい設定と自由な空気、Zはライダーを解放する!

サーキットもこなすKATANA、発展性が楽しめるZ

淡々と走るという意味ではZ900RS CAFEに譲る部分があったKATANAだが、ワインディングに入るとその楽しさは覚醒する。とにかく速い! 高回転域を使うと150馬力はダテじゃないし、シチュエーションや路面に合わせてドライブモードが選べるというのもZにはない装備。街中では固めに感じたサスペンションもダイレクトさを発揮し、高めの重心位置とアップハンドルでピピッとリッターバイクを振り回す醍醐味を満喫できる。

画像4: KATANA vs Z900RS CAFE|スポーツ走行性能比較

バンク角も十分深く、かなりのリーンアングルになってもステップが接地して走りに水を差すといったこともない。どんどん気持ちが盛り上がってしまい、これならもっとハイグリップなタイヤを履きたいな、などと妄想し始めた。ワインディングと言わずサーキット走行会でも高い実力を発揮するだろう。

画像5: KATANA vs Z900RS CAFE|スポーツ走行性能比較

対するZは十分速いしエキサイトもできるものの、柔らかいサスや高回転域での絶対的パワーの違い、そして何よりもバンク角の浅さゆえ、どこかスポーツに対してストイックになり切らず、あくまで「ワインディングを楽しんで走る」というニュアンスだ。決して遅くはないものの、一定以上の本気度になってくるとまずはバックステップが欲しくなるだろうし、ましてやサーキットとなると色々手を加えたくなる。

しかし、そんな包容力もまたZの魅力。自分好みにセットアップするアソビも残されていて、どこかゼファー750を思い出させるものがあった。

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