本質はそのままに専門店のノウハウで楽しみを大きくする

50歳を超えてからもGSX1100Sカタナに楽しく乗れれば……。この車両はオーナーが手放しそうになっていた車両に対して、専門店からの提案と作業を施すことでそのテーマをきっちりクリアしたものだ。元々重く、エンジンは質実だがシャープでない印象、ブレーキは効かないし曲がらないという印象が出やすいカタナ。その前後ホイールベアリングを高精度のシールタイプにして、キャブレター同調を完全に取り、エンジンを適正位置に組んで適正トルクで締め付けすることで、それらを大きく軽減した完全整備車がベースだった。ただ車重や、低く遠いハンドル、高くてヒザの曲がりがきついステップだったため、しばらく乗らない期間ができてしまい、それで調子が悪くなることもあって、手放すことを友人に相談したとオーナーの中村さんは言う。

「ばかだな、いま手放したらもう二度と手に入らないぞ。ポジションがキツいならバーハンドルにしちゃえばいいじゃんか」。そう答えてくれた友人とは、カタナ専門にチューニングを行い、カタナのことをすみずみまで知る、オオノスピードの大野さんだった。

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“50歳からのカタナの形があってもいいか」と決断してバーハンドルキットを組んで以降は、飛躍的にカタナで走る回数、距離が増えたとオーナー。カタナ=セパハンという固定観念も超えて、満足いく「いつでも乗れる快適なカタナ」という形ができあがった。

これでも十分という状態だったが、その後アクシデントに遭ったため、その修理のためにオオノスピードへ再入庫。入手した当時から20年が経ったこともあり、その経年分のコンディションもリフレッシュしたというのが、今の姿だ。ノーマルシルエットは極力崩さず、エンジンはノーマル。良好ポジションを作ったバーハンドルは継続される。ワイヤハーネスは新品にして、オーリンズリヤショックも20年使ったことから新たにアラゴスタに換え、前後ブレーキキャリパーもそれまで使っていたブレンボのキャスティングをもう一度、同じもので一新した。社外パーツに換えていることで見落としがちな経年劣化にもきっちり対応している点も好ましい。これらを含めた各部パーツチョイスは、この先も補修の心配が要らないものを中心に選んでもらったとのことだ。

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絶版車に乗るということは、補修パーツがなくなる心配と戦っていかなきゃいけないということ。純正部品でもカスタムパーツでも、もう手に入らないものが出てくる。ただそれらをストックしまくるのも難しい。そう考えたときに、なくなる可能性の低いパーツを専門店と一緒に選ぶ。このように変わりゆく環境や、オーナー自身の乗ることへの興味に対応していく。このカタナはその好例と言っていいだろう。

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Detailed Description 詳細説明

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全年式対応のカウル&純正同一素材/製法によるポリカーボネイト製スクリーンはオオノスピード製。純正同形状なのでありがたい部分だ。

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オオノスピード製で同店お勧めの、「削出・アップハンドル専用トップブリッジ」でバーハンドル化。純正φ37mmフォーク対応/50mmオフセットで、ノーマルセパハンからはグリップ位置が約20cm上がって約10cm近づき、「これなら何時間だって乗り続けられる」とオーナー中村さん。セパレートハンドル仕様にこだわる向きには同店製「削り出しトップブリッジ」「ACTIVEセパハンアタッチメント」とACTIVEφ43セパレートハンドルセット」を使うのもお勧めで、どちらも人気が高い。

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フロントマスターシリンダーはブレンボ製可変レシオ・ラジアルポンプのRCS。カタナで重いと言われるクラッチはオオノスピード・ライトクラッチホルダーを使い、大幅に作動を軽くしている。レバーの調整範囲も広く、こうした点からもカタナが身近になってくる。

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シートはオオノスピードで加工(一般受付もあり)。ここでは表皮を「1135Rタイプ」(ヨシムラ・刀1135Rのパターンを参考にしたもの)に貼り替えている。シートスポンジの変更や形状変更も行える。

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リヤはフェンダーレスにしてシート下ボックス兼用のフェンダーレスキットを装着。写真左側のようにETC車載器も装着でき、車載工具やレインウェアも収納できるスペースを確保している。純正形状のテールカウルもオオノスピードによる平織りカーボン製を装着した。

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'80年代のTV番組「西部警察」に出てきたブラックカタナがオーナーの原点ということから、憧れの黒ボディ×銀エンジンを経由して、改めて原点回帰の銀ボディ×黒エンジン仕様に。エンジンは1074ccのノーマルのまま、良好な状態を保っている。今回ワイヤハーネスが新品となった。

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キャブレターは純正BS34のインナーパーツを新品にしてオーバーホール済み。今後も純正を使い続けたいが、内部パーツ欠品などでオーバーホールが出来なくなってしまうのなら、ケーヒンFCRやミクニTMRへの換装も視野に入れているという。

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GSX1100Sカタナはもはやノーマルのブレーキは勧められない世代のモデルという理由から、アップグレードが図られている。ここではブレンボ・アキシャル4ピストンキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクに変更しているが、これは必須と言える換装。消耗してもしばらくは新品が手に入る利点も見込んでのことだ。フロントフォークもφ37mmの純正径を持つアドバンテージKYBにアップグレードした上でインナーチューブにチタンコートを施した。

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リヤブレーキはブレンボP2-RS84 2Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクに換装。ブレーキラインはHEL。マフラーはヨシムラ・サイクロンで、初期アルミサイレンサーが良かったけれど、入手できたステンレス製サイレンサー仕様を装着する。

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スイングアームはカタナ純正アルミをブラック化している。リヤショックスはアラゴスタの3Wayダンピングタイプを黒スプリング仕様で依頼した上で装着。1.85-19/2.50-17サイズのホイールは純正キャストで、ドライブチェーンはRKの炭素鋼リヤスプロケット(01PS)とのセットで520サイズにコンバート(チェーンはRK・520XXW)。

取材協力:オオノスピード

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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