文:丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温
ヤマハ「MT-10 ABS」VS スズキ「GSX-S1000」|各部チェック
![画像: YAMAHA MT-10 ABS 総排気量:997cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:835mm 車両重量:212kg 税込価格:192万5000円](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/15/253fd3f48f3f1c94fc15bd8bb0b450e451cc5582.jpg)
YAMAHA MT-10 ABS
総排気量:997cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:835mm
車両重量:212kg
税込価格:192万5000円
![画像: SUZUKI GSX-S1000 総排気量:998cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:810mm 車両重量:214kg 税込価格:143万円](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/15/6549df13619dfa6fe871aceae54ae12d81770dd6.jpg)
SUZUKI GSX-S1000
総排気量:998cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:810mm
車両重量:214kg
税込価格:143万円
1.エンジンまわり
![画像1: YAMAHA MT-10 ABS](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/123c5d1ab93254d1a325a2e4c48f180f22e709d2.jpg)
YAMAHA MT-10 ABS
![画像1: SUZUKI GSX-S1000](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/e17fd2cbd41f5cb3f397eb61059ce24c7a6f22d8.jpg)
SUZUKI GSX-S1000
エンジン三軸、三角形の秘密はね
どちらもエンジンのクランク、メインシャフト、カウンターシャフトの三軸が三角形にレイアウトされ、前後長のコンパクト化が図られている。MT-10のメインシャフト軸は地面から50cmもありかなり高い位置だ。GSX-S1000のエンジンはGSX-R1000K5ベースなので、K5のスズキ純正エンジンパーツは今後十数年は絶版にならないはず! つまり、GSX-R1000K5の中古は熱い! ってすぐ考えちゃう私病気ですか?
2.オイル交換と整備性
![画像2: YAMAHA MT-10 ABS](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/87ab8872aa840e78d2be26ed2b51d608820b52ba.jpg)
YAMAHA MT-10 ABS
![画像2: SUZUKI GSX-S1000](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/e1931a663f3167a97e1423152eab5c3a3a713b82.jpg)
SUZUKI GSX-S1000
夏場は厳しそうなMTと意外と経済的なGSX-S
大型ラジエターとオイルクーラーを備えるMT-10は熱的に厳しいエンジンだと推察される。それもあって、MT-10はオイル量が多く、フィルター交換時は4.1Lも必要。4L缶ひとつでは微妙に足りず。GSX-S1000はオイルクーラー非装備で、フィルター交換時のオイル量は3.2Lと、意外と少食。だけどエキパイの狭い隙間からオイルフィルターを外すのは知恵の輪状態になりそう。
3.足まわり
![画像3: YAMAHA MT-10 ABS](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/907f28e906309fbd55f0292b2f9b636951529214.jpg)
YAMAHA MT-10 ABS
![画像3: SUZUKI GSX-S1000](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/0d5201070046bab78bac37ca18ea120f8b37150d.jpg)
SUZUKI GSX-S1000
ストリートファイターの個性は足元にも
ムッキムキでたくましく見えるMT-10のスイングアームだが、上から見ると非常に薄型でドリフのセット状態。軽さと適度なしなりを求める新トレンドか!? 最近の子は足もシュッとしてはります。GSX-S1000の方は全方位イカツめスイングアームでここにも00年代SSの残り香が漂う。この足まわりひとつとっても、MT-10の方が先進的だが、公道で乗るならどちらも不足を感じることはないはず。
4.乗車時の快適性
![画像4: YAMAHA MT-10 ABS](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/22664fa4adbc62e02c76faf9083cb4f7d568beb9.jpg)
YAMAHA MT-10 ABS
![画像4: SUZUKI GSX-S1000](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/14/2ca76d363ff7f328d7773e8ef697ed082cd2484b.jpg)
SUZUKI GSX-S1000
ツーリングモデルではないがSSよりもはるかに快適
GSX-S1000はハンドルがラバーマウントでMT-10はリジットマウント。また、GSX-S1000はシート下収納スペースもある程度確保されるが、MT-10は皆無に近いスパルタン設定だ。MT-10のシート座面はやや前下がりだが、グリップの良いバックスキン風表皮を採用。デカ盛りグルメで満腹&オネムなツーリング帰りに、ブレーキングのたびにお尻が前にズレてうんざりする例のヤツにも悩まされないはず!
ヤマハ「MT-10 ABS」VS スズキ「GSX-S1000」|総合評価
![画像: 素材のままを味わいたいMT-10と好みに味付けしたいGSX-S1000!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/15/802a7b04f3cc980aefe73ba01353780c4d110e96.jpg)
素材のままを味わいたいMT-10と好みに味付けしたいGSX-S1000!
老害グレーゾーン目線で2台の魅力を考えてみた
人間歳を重ねると好みも変わってくるもので、サザエの黒いとことか、正体不明の発酵食品とか急に難解な味のものを欲したりする。バイクにもそれは当てはまるところはあって、経験値が上がると、わかりやすくシンプルなものより奥深い魅力をたたえるものに惹かれがちだ。
そうした意味でMT-10のアバンギャルドなデザインやクロスプレーン型クランクのエンジンフィールは、少し触れたくらいでは腹落ちせず、もっとじっくりその魅力を探求したいと思わせた。
一方のGSX-S1000は超合金、ファミコン、ガンダムなど昭和生まれの必修科目を残さず履修してきた人ならスッと受け入れられるデザインだ。パワーやレスポンスは激烈だが、直4らしい気持ちの良い伸びやかなエンジンフィール自体は、90年代以降の水冷直4ビッグバイクブームだったあの頃のマシンと変わらぬお味をお届けしてくれる。
![画像5: SUZUKI GSX-S1000](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/15/9ba964482158307bca0daf05d0a2d4d172523600.jpg)
SUZUKI GSX-S1000
電子制御が並盛なのでサスペンションなどセルフメンテできる範囲は広い。オイル量も中型バイク並みなので維持費は抑えられるはず。その分、先進性は控えめ。デザインもMT-10ほどの強烈ではないが、ひと目でそれとわかる個性あり。
![画像5: YAMAHA MT-10 ABS](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/15/d7f781a71a493937f014d05e491f9a91c8702dad.jpg)
YAMAHA MT-10 ABS
他メーカーにはないクロスプレーン型クランクシャフトのエンジンを筆頭に独自性が光るMT-10はIMUや電サス仕様を設定するなど先端装備が満載。その分メンテナンスの手は出しにくい印象だ。ショップに依頼すれば維持費もかさむ。
ヤマハ「MT-10 ABS」VS スズキ「GSX-S1000」|スペック・価格・製造国
MT-10 ABS | GSX-S1000 | |
全長×全幅×全高 | 2100×800×1165mm | 2115×810×1080mm |
ホイールベース | 1405mm | 1460mm |
シート高 | 835mm | 810mm |
車両重量 | 212kg | 214kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 997cc | 998cc |
ボア×ストローク | 79.0×50.9mm | 73.4×59.0mm |
圧縮比 | 12.0 | 12.2 |
最高出力 | 122kW(166PS)/11500rpm | 110kW(150PS)/11000rpm |
最大トルク | 112N・m(11.4kgf・m)/9000rpm | 105Nm(10.7kgf・m)/9250rpm |
燃料タンク容量 | 17L | 19L |
変速機形式 | 6速リターン | 6速リターン |
キャスター角 | 24°00′ | 25° |
トレール | 102mm | 100mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・190/55ZR17 | 120/70ZR17・190/50ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・ディスク | ダブルディスク・ディスク |
燃料消費率 WMTCモード値 | 15.6km/L 1名乗車時 | 17.0km/L 1名乗車時 |
製造国 | 日本 | 日本 |
メーカー希望小売価格 | 192万5000円(消費税10%込み) | 143万円(消費税10%込み) |
文:丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温