いつまでも現行モデルだと思っていたら、カワサキZRX1200DAEGが生産終了してもう8年。それでも新鮮味を失わないのは、ショップもオーナーもカスタムバイクのバリエーションを生み出し続けているからだ。中でもアクティブは、今年同社で5世代目となるDAEGカスタムを「ちょっと古い」をテーマに製作。その乗り味は。
※本企画はHeritage&Legends 2024年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

ありそうでなかったクラシック風DAEG

初代のZRX1100から数えると、もう30年近くになるZRX。最新と言えるDAEGでも8~15年が経った。その間、いくつものカスタムが生まれた。ビキニカウル付きとは言えネイキッドで、ツインショックのリヤサスなど、現行モデルのZ900RSともまた違うクラシック感。それが、乗ってもイジってもいいというDAEG含むZRXシリーズの魅力だ。

そのZRXのカスタム・フロントランナーに、アクティブを挙げていいだろう。1100からDAEGまで多くのパーツやデモ車を作り、その都度の提案をしてきた。

画像: ▲アクティブ・DAEG開発部の福田哲史さん(左)、ハイパープロ開発チーフの安宅健二さん(中)に立ち会っていただき、右の私・中村浩史が自分のアクティブDAEG通算3機種目の試乗を行った。

▲アクティブ・DAEG開発部の福田哲史さん(左)、ハイパープロ開発チーフの安宅健二さん(中)に立ち会っていただき、右の私・中村浩史が自分のアクティブDAEG通算3機種目の試乗を行った。

「バイクらしい形で、それでも絶対性能は現代モデルにも劣らず、手を入れるとどんどん魅力を増してくるのがDAEGというバイクだと思います」と言うのは同社・DAEG開発部の福田哲史さん。

そして同社DAEGとして5作目となる新作のアクティブ車は、ちょっと原点回帰。新しさを加えながらノスタルジックさを感じさせる仕様に仕立てられた。

バイクのパーツには時代性がある。フロントフォークはインナーチューブ径が太くなって、倒立も視野に入るし、ホイールはワイヤスポークからキャストになってアルミもマグも、鋳造も鍛造もあるし、スポークも3本、4本、5、6、7本、10本……、形もさまざま。スイングアームもスチール丸パイプから角型、アルミになって、スタビライザー最強って時期もあった。今は製法も増えている。

画像: ▲クルクル回り、開けやすいDAEGに変身!

▲クルクル回り、開けやすいDAEGに変身!

「DAEGも定番は進化の方向ですが、今回はクラシックに振って、ヘビーユーザーもおっと思えるメニューを取り入れてみました」と言うのは同じく開発部所属の安宅健二さん。そう言えばこのカラーリング、Z400GP風だ!

目を引くのはゲイルスピードホイールで、あえての十字型4本スポーク、ジャパンクラシックをイメージさせるタイプJ。フォークボトムケースはブラックに、スイングアームはスタビなしの角型。そして、このクラシックな雰囲気が、走りにも影響していた。

画像: ▲‘80年代初頭のZ400GPカラーがノスタルジックディテールに合う。各部の詳細は こちら のザ・グッドルッキンバイクページをチェック!

▲‘80年代初頭のZ400GPカラーがノスタルジックディテールに合う。各部の詳細はこちらのザ・グッドルッキンバイクページをチェック!

まずこの車両は、車体をコンパクトに感じられるのが大きな特徴。全長と言うよりホイールベースが短くなったような感覚になるほどクルクル回る。Z900RSよりZ650RSに近い印象で、これは前後サスペンションと車体剛性の最適化の効果と思える。

特に気に入ったのはフロントフォークの動きで、ゆっくりとストロークして、戻りのダンパーが効くセッティング。さらにブレーキも、初期の立ち上がりが緩やかで握り込みに応じて効くタイプだ。 実はここはノーマルDAEGの弱点でもあり、ブレーキが初期で強く効き、フォークのダイブと戻りが速い。アクティブ号はパーツを換えつつここの印象を上手く変えているのだ。

画像: ▲そのノスタルジックカラーリングになじむように、ホイールやスイングアーム、キャリパーを「超高性能」よりもバランス重視で組み合わせたDAEG。注目はゲイルスピードType-Jホイールや、ポリッシュ仕上げの口の字断面スイングアーム。乗りやすさも狙いつつ、ルックスも新鮮だ。

▲そのノスタルジックカラーリングになじむように、ホイールやスイングアーム、キャリパーを「超高性能」よりもバランス重視で組み合わせたDAEG。注目はゲイルスピードType-Jホイールや、ポリッシュ仕上げの口の字断面スイングアーム。乗りやすさも狙いつつ、ルックスも新鮮だ。

「ブレーキキャリパーもラジアルマウントやブリッジ付きの高剛性品ではなく、軽量でシンプルな横置きのミドルレンジ品を使っています。ブレーキを強くし過ぎないことで、フォークの動きをスムーズにするためなんです」(開発部・福田さん)

完全新設計のスイングアームは、剛性を高め過ぎない「口の字」断面。併売される大断面積のプレスフォーミングタイプよりも剛性を抑え、しなりを生む形状。と言ってもワインディングのスピード域では違いを言うのは難しい。でも、スロットルを開けやすい、トラクションがダイレクト過ぎない動きを狙っているというのは、これで分かる。

画像: ありそうでなかったクラシック風DAEG

1164ccもの大排気量を忘れてしまいそうなコンパクトさとスロットルの開けやすさ。気持ちのいい4気筒エンジンを味わえるのは、決してひとつの要素からでなく、この車両に装着されているパーツ「群」の相乗効果。アクティブがこれまで積み重ねてきた、DAEG改のノウハウの集大成だ。

今ではもう、ちょっと古い部類に入ったDAEG。でも、こんなに楽しめるバイクになると分かった。

取材協力:アクティブ

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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